医療ドラマでは見えない手術室看護師の役割

看護師といえば病室を回って患者の世話をするイメージですが、外科系では手術室看護師という特殊な役割を担う人もいます。

医療ドラマでは見えない手術室看護師の仕事について、まずは担当の違いです。
手術室看護師と病棟の看護師は切り離されていることが多く、術前・術後の管理をするのは病棟勤務の看護師、術中を担当するのが手術室看護師です。
ドラマでは手術看護師と病棟勤務の看護師がずっと一人の患者を担当していますが、実際の手術室看護師は1日のほとんどをオペ室で過ごし、患者と直接話す機会はほとんどありません。

次に手術中のモニターについてです。
患者の心電図、血圧、血中酸素飽和度(SpO2)、体温を測定する機械のことをモニターと呼びますが、これらを示す数字が一定の基準を上回ったり下回ったりするとアラームが鳴ります。
ドラマでは「ピロロロン」と鳴り出すと一気に緊張感が生まれますが、実際の現場では冷静にモニターを確認してすぐに止めてしまいます。
アラームは測定に失敗した場合も鳴るため、音に踊らされず、表示されている数値や患者の状態がおかしくないか目で確認することが大事なためです。

最後に手術器具についてです。
現場でも執刀医の指示でメスを手渡したり手術中に使う器具を整頓する「器械出し」という役割を持つ看護師が存在しますが、ドラマでは器具の整頓についての描写がほとんどありません。
ドラマで出てくる手術器具は血まみれだったり、反対に手術で使ったはずなのに汚れているように見えなかったりと様々ですが、実際の現場では器械出しがこまめに血を拭き取り、後者を保つのが理想的です。